ドクエン株式会社 取締役 上之薗拓也(かみのその たくや)さん

【オモシゴ!】
様々な視点や発想でイキイキと仕事に取り組む”オモロイ”企業や人をご紹介します。

いろんな方に少し楽しんでもらえるようなものを提供していきたい

ドクエン株式会社は任天堂に勤めていた二人が2017年12月につくったベンチャー企業だ。上之薗さんはドクエンの創業メンバー。12年勤めた任天堂をやめて起業した。

上之薗さん「”独創的なエンターテインメントをつくる”という目的を掲げて創った会社です。会社名のドクエンはそこからきています」

ドクエン株式会社 ロゴマーク

これまでになかった娯楽・エンターテインメントを提供することで世の中を少し明るくしたい、という想いが込められている。たとえ少人数だとしても「これって世の中になかったよね、楽しいよね」と言ってもらえるような商品を作りたいし、作っていることを楽しむ組織にしたい。

会社設立から3ヶ月、いまは上之薗さんのお義父さんが仕事場として使っている倉庫の一部を事務所にして、最初のプロダクトの開発に取り組んでいる。

義父の倉庫を改装して事務所に

改装中の事務所

起業を経験してみたかったことが一番の理由

 なぜ上之薗さんは任天堂を辞めて起業することを選んだのか。

上之薗さん「任天堂のことはめちゃめちゃ好きです。社員はすごい真面目で、妥協しないで、ちゃんといいものを世の中に出して、みんなを喜ばせたいと思っている、いい会社です。それでも起業を選んだのは、創業パートナーとタイミングがあったこと、妻や、自分や妻の家族が100%応援してくれたことなどもありますが、子供っぽいひとことで言うと起業を経験してみたかったというのが一番大きな理由です」

ドクエン株式会社取締役 上之薗さん

ここ数年たくさんの起業家と会う機会が増えていた。どの起業家も、毎日が楽しく充実しているようだった。上之薗さんには起業家・経営者という生き方がとても魅力的にうつり、自分もチャレンジしたいという思いが強くなっていった。

上之薗さん「(経営者は)魅力のある生き方ができるんだろうなと。なら試してみたい、やらなかったらいつまでもやりたいと思うだろうと感じました。それに起業することで間違いなく成長できると思いました」

任天堂でできなくてベンチャーだからできることは?という質問に対して、上之薗さんはしばらく考えてから、「ベンチャーの方ができないことが多い」と笑いながら答えてくれた。だからこそ今は、活動の幅を広げてたくさんの人を説得して巻き込み、信頼を獲得していかなければならない。常に事業を前に進めていく過程が自らの成長を加速させる。

大企業では職務範囲が限定的で自分の得意に集中できる反面、範囲を拡げるタイミングは限定されるという。

上之薗さん「職務範囲を拡げるタイミングと、遂行して信頼を獲得する期間が交互にきます。それに比べて起業や転職は、不連続に範囲を拡げる機会です」

活動の幅を拡げるにはエネルギーが必要だ。無理に活動の幅を広げなくても自分の仕事をしっかりと推進して評価されるという働き方もある。

上之薗さん「任天堂でも自分からガンガン拡げて進むエネルギッシュな人はいます自分はやらざるをえない状況にならないとやらない。その点でも起業することで成長できると思いました」

悩んでいてもキリがない、やるべきことに取り組む

創業メンバー2名の会社組織。意図的に役割は決めていない。たった2名の組織で役割を分担すると一人で仕事に取り組むことになる。そのためCEOなどの役割を示すタイトルもない。その時々に、チームとしてやるべきことに取り組んでいる。

上之薗さん「いまはちょうど他の人を巻き込んでいこうというフェーズなので、社外の方とのコミュニケーションを増やしています。いろんな人を同時に巻き込んでいかないと話が成立しないので、そこに注力しています」

現在、ドクエンではライスワーク(食べていくための仕事)は一切せず当面の開発に注力している。

事務所にはテスト用に多くの機材が設置されている

設立したばかりの会社で実績も信頼もない。それでも信じてくれる相手が少しずつ現れてきた。多くのことを同時に進めていかなければならないが、信じてくれる人が一人増えるだけで物事が進んでいく。そういう人たちの存在がいまは本当にありがたい。

上之薗さん「よく、お前なに考えてるんだ、もったいない、と言われるが、会社を辞めたこと自体はリスクだと思っていません。仮に鳴かず飛ばずで数年後に諦めたとしても、どこかに就職して働いてもよいわけですし、それはリスクではない」

仮に辞めずに任天堂で15年勤めた場合と、12年目で辞め起業して3年で会社がうまくいかなかった場合、過ごした15年という時間はどちらにも価値があると上之薗さんは考える。

上之薗さん「3年間不誠実なことをやって時間を無駄にしてはダメだけど、ちゃんとした理由があって3年間チャレンジしてうまくいかなかった、それはこういう理由で反省している、ということがあれば、大丈夫だと思います。もしダメになって、3年後に本当に働き口があるのか?と考え出したらキリがない」

ダメになっても道がとざされるわけではない。ある程度考えていれば意外に選ぶ道があることに気づく。多くの人は考える前に不安だけを抱いてしまいチャレンジできないでいるのかもしれない。

上之薗さんの創業パートナーへの信頼は厚い。
万一いま開発しているプロダクトがうまくいかなかったとしても、資金さえあれば次のサービスの開発に取り組めばいい、そう平然と語った。

ドクエン創業者の下村さん(左)と上之薗さん(右)

ドクエン株式会社

ドクエン株式会社
京都市南区東九条南松ノ木町12番3

代表取締役:下村勝
取締役  :上之薗拓也

■経営理念

常に独創的エンターテインメントの創造に挑戦し、
これまで存在していない娯楽を提供することで、
世界を少し明るくする。

(文:ムラナカトクシ
(掲載日:2018年4月9日)